デンタルニュース

(平成25年9月号)

今月は『摂食嚥下③』をお届けします。
摂食嚥下のある場合、最も注意しなければいけないことは、低栄養と誤嚥性肺炎の二つを予防することです。それには誤嚥しないよう十分な量の食事をとることです。しかし誤嚥昨日は反射運動によって喉から胃まで食べ物を送り込むので、摂食嚥下障害の方は、むせないように飲み込もうとしても、自分の意思では思い通りにはなりません。むせに対する不安から食事の量が少なくなることもあります。病状が安定すると病院を早期に退院して在宅で療養することが多くなった現在、自宅でどこまで安全で無理なく食事をとることができるかがとても重要になります。

まずは食事の工夫と姿勢の確保

食事はとろみを付けるなど、患者さんの嚥下機能に合った誤嚥しにくい形態に調理することで、かなり上手に食べることができるようになります。そして食べる時の姿勢は椅子や車椅子の場合、腰と膝がそれぞれ90度に曲がる位で、背筋を伸ばした姿勢をとります。座れない場合は、上体を30~60度位起こして、枕などを使って顎を引いた姿勢をとることで、誤嚥のリスクを減らすことができます。

食事前のストレッチ

摂食嚥下には、頬、舌、首の多くの筋肉が関係していますので、食べる前にこれらの部位の筋肉をよく動かしておくと誤嚥の予防になります。

1.口に入れてから飲み込むまでしっかりと口を閉じていられるように頬と舌の運動をします。

2.嚥下には首周りの筋肉を使うので頸部の運動を行います。

摂食嚥下の訓練

摂食嚥下の訓練方法はいろいろありますが、嚥下反射を起こしやすくするために、ストレッチと同様に食事の前に行うと効果的です。比較的簡単で安全にできるものを2つご紹介します。

1.K-point刺激法

スプーンの角などで、K-point(臼後三角のやや奥)を軽く刺激します。これによって開口を促すことができます。

2.アイスマッサージ

氷水などに浸した綿棒で、舌の奥のほうや口蓋を軽く刺激して空嚥下を行います。嚥下反射を起こしやすくして誤嚥を防止する効果があります。唇、舌と手前から順番に刺激し、自発的な嚥下ができるまでゆっくり行います。

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