デンタルニュース

(平成26年2月号)

今月は『歯の痛み②』として、関連痛の中でもよくみられる、顔の筋肉と上顎洞炎(じょうがくどうえん=蓄膿症)が原因となるものについてご紹介します。 歯が痛む時には、歯に原因があると考えます。しかし歯科医院で検査等を行っても、歯に全く異常が見つからないことがあります。これを“歯が原因ではない歯の痛み”という意味で『非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)』と呼んでいます。この場合、歯が原因ではありませんから、歯科治療を行っても当然痛みは改善しません。むしろ不要な歯の治療を行わないよう注意しなければなりません。非歯原性歯痛には、他の場所に痛みの原因がある『関連痛』というものがあります。

関連痛で起こる歯の痛み

かき氷を食べた時、後頭部やこめかみにキーンという痛みを感じたことがあると思います。このように痛みを感じる場所と痛みの原因となっている場所が異なる場合を関連痛と呼びます。痛みというものは神経が電気の信号を脳に伝えることによって生じるのですが、神経は複雑に枝分かれしたり合流したりしているため、途中で『混線』して脳が勘違いをして関連痛は起こります。歯の場合には、次のような関連痛があります。

①顔の筋肉・・・

食べ物を噛む時に使う咬筋(こうきん)と側頭筋(そくとうきん)が緊張や疲労することがあります。これが原因となって生じる歯の痛みです。非歯原性歯痛の中では、比較的頻度の高いものです。原因となっている筋肉を押してみて、歯が痛むかを調べます。歯へ麻酔をしても痛みは取れませんが、原因である筋肉のあるポイントへ麻酔することで、歯の痛みは解消します。治療は、原因となっている筋肉への局部麻酔薬の注射や抗うつ薬などの薬物治療等があります。筋肉を暖めたり、マッサージをする等も有効です。

②上顎洞炎(蓄膿症)・・・

鼻の左右には、上顎洞という空洞があります。上の奥歯の根っこがこの上顎洞の近くにあり、風邪をひいて鼻汁や膿が溜まって上顎洞に炎症を起こすと、およそ2割の人に鈍痛が出ます。この場合は、耳鼻科での治療となります。抗菌剤等を服用して上顎洞の炎症が治れば歯の痛みも消失します。また逆に上の奥歯がむし歯となり、根っこまで感染して上顎洞炎になることがあります。この場合は原因なっている虫歯の根っこ治療を優先します。



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