デンタルニュース

(2019年6月号)

冷たい物を口にすると一時的に“キーン!”と歯がしみる、“ズキン!”と痛むということはありませんか。 他にも熱い物や酸っぱい物を口にした時、冷たい風や歯ブラシが当たった時にも一時的に強い痛みを感じることがあります。むし歯のように持続的に続く痛みとは異なり、 何らかの刺激が原因となって生じる痛み。これは知覚過敏でみられる症状である可能性が高いと考えられます。 厚生労働省が平成28年に実施した歯科疾患実態調査結果では、25歳以上の幅広い世代で知覚過敏の症状に悩む方が見られ、65歳から74歳の高齢者では、 10%以上の方が「歯が痛い」「しみる」と回答しています。今月は『知覚過敏』についてご紹介します。

知覚過敏の原因

知覚過敏が起こるのは、歯の構造と関係があります。歯は歯ぐきを境に歯冠と歯根に分けられます。歯冠部は厚さ1~2mmの硬いエナメル質、 歯根部は柔らかなセメント質に覆われており、表面が欠けたり割れるとその奥にある象牙質が露出します。象牙質には、歯の神経に通じている象牙細管があり、 刺激を受けると象牙細管内の組織液が移動します。その結果神経が刺激されて痛みを感じるのです。象牙質が露出する具体的なきっかけは、歯ぎしり、 歯磨きの力が強すぎる、外傷、ホワイトニングや歯周病による歯肉の減退等があげられます。

知覚過敏の治療法

知覚過敏の治療では、歯の神経を刺激しないように象牙質の露出部分を被覆する、内部の隙間を封鎖する、歯の再石灰化を促す等の修復を行います。 また、歯根部ではレーザー照射を行うことで歯肉細胞の活性化を促し再度歯肉で覆われるようにすることもあります。またどうしても知覚過敏が治らない場合、 最終手段として神経を取り除くこともあります。

知覚過敏を予防するには

知覚過敏になってしまった場合には、刺激を避けるとともに治療することが第一です。まずは普段からの予防として、歯の再石灰化を促すフッ素や知覚過敏用の成分が 配合された歯磨き粉を使いましょう。歯肉の減退に影響を与える歯周病やむし歯があれば、早めに治療をしておくことも大切です。歯に傷や異常が見られた場合はもちろんですが、 普段から定期的なクリーニングやメンテナンスを受け、歯の健康診断を行っておくことも知覚過敏を未然に防ぐポイントです。 特に痛い、しみるといった症状がわずかでもある場合には早めに受診しましょう。

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